<白檀(びゃくだん)> (写真左端は定規の一ミリ目盛りです)
別名:サンダルウッド、栴檀
学名:Santalum album
白檀は扇子の材料として一番有名なですね。
木材自体から、とてもいい香りがします。
お香の原料としても良く使われますよ。
木材として利用できるまでに三十年程度かかり、成熟した樹でも高さはせいぜい10メートル程度。相当大きく育っても、高さ15m、直径30cmくらいです。
インド、タイ、インドネシア、マレーシア、東南アジア、オーストラリア、フィジーなどに分布しています。
インドのマイソール(迈索尔、Mysore)地区で産出する白檀が最高級品とされ、「老山白檀」 という別称で呼ばれています。
木材の中央部分(心材)は香りが強く、周辺(辺材)に行くにつれて香りは弱くなります。
また、根っこ部分も香りが良いので重宝されます。
中国では、産地と等級により、以下のような名前を付けて区別しています。
老山香(インド)
新山香(オーストラリア)
地门香(東南アジア)
雪梨香(ハワイ等の太平洋島国)
品質(香りの良さ)は、おおよそ以下のようになります。
老山白檀>インド>インドネシア>その他東南アジア>ハワイ、ニュージーランド、オーストラリア等
※ ハワイ、ニュージーランド等のものは、香りが弱く木色が白っぽいため、扇子には向きません。
どの産地の白檀を使用するかが、同じ白檀扇子でも価格が大きく変わることの一因になっています。
当店の檀香扇は2008年から2013年まではインド産、2014年以降はインドネシア産の白檀も使用しています。
(全ての白檀扇子に、白檀の産地を明記していますのでご安心ください)
現在インドでも伐採過多のためインド政府による伐採制限・輸出制限がかけられており、入手はとても困難で値段も非常に高騰しています。
僅かに残る白檀原木も、(インドからの輸入ではなく)大半が中国国内の流通在庫です。
そして、残念ながらニセモノが数多く出回っているのが現状です。
木材価格やニセモノについては、ページ下部をご覧ください。
◆白檀扇子一覧◆
|
※ 紫檀については、日本と中国共に、名称が混在して不正確に使われています。できる限り情報を集めましたが、部分的に誤りがある可能性がある事をご理解下さい。
<紫檀(したん)-小叶紫檀->
別名:ローズウッド、檀香紫檀、Redsander Wood
学名:Pterocarpus santalinus
小叶紫檀は、木の総称ではなく、1つの木を指しています。
日本では紅木(コウキ)と呼ばれ、以前は三味線にも利用されていました。
(現在は流通量と価格の高騰により、日本国内ではほぼ流通していません)
熱帯や亜熱帯地方で産出され、中でもインド産が最高級とされています。
成熟した木で高さ20m、直径20cmほど。
現在は伐採、輸出入が保護・規制されています。
さらに、中国では「十檀九空」と言われます。
つまり、「紫檀の木材が10本あれば9本は中に空洞がある」のです。木材として乾燥させるうちに空洞が出来たり、湾曲していく物もあります。
...こう説明すると、大型木材の希少性がお分かりいただけるかと思います。テーブルとイスの家具セットで、「家が建つ値段」という事も十分にあるので...
ちなみに、名前の「小叶」とは、小さな葉っぱという意味です。
木材として使える割合がとても少ない(上記の十檀九空の為)事もあり、小叶という言葉を冠して呼ばれるようになったようです。
代表的な特徴は以下の通り。
・空気に触れると色が濃く深くなっていく
・紙などでスッと擦ると、紙に色が付く
・表面に細かい線状の模様が入る
※ 上記3点の特徴があれば必ず小叶紫檀だ、とは言い切れません。表面の滑らかさ、重さ、価格等から、総合的に判断する必要があります。
<紫檀(したん)-大叶紫檀->
別名:ローズウッド、玫瑰(メイグイ)檀、鸡丝檀
学名:木の総称のため特定不可
※ 1つの木を指すのでは無く、木の総称として使われている点に注意が必要です。
「ローズウッド」の別名を持つ高級木材です。
伐採過多のため供給量が非常に少なくなった小叶紫檀の代わりに使われるようになった経緯があります。
主に南アフリカのマダガスカル諸島で産地される「盧氏黒黄檀」の事を指します。
当店の扇子に使用しているのも、別名が玫瑰(メイグイ)檀と呼ばれるこの紫檀です。
「玫瑰」とは、バラの事です。木材の色合いから付けられた別名ですね。
1996年ごろに中国に伝わった、まだ新しい木材で、小叶紫檀に近い特徴を持ちます。
(小叶紫檀の3つの特徴をほぼ全て持ち合わせています)
切って間もない木材は、ちょっと酸味のある香りがするのが特徴。
小叶紫檀と同様、時間の経過と共にゆっくりと暗紫色に色が変わっていきます。
◆紫檀扇子一覧◆
|
<黒檀(こくたん)>
別名:烏木(うぼく)
学名:木の総称のため特定不可
中国では「烏木(ウームー)」と呼ばれています。烏(カラス)のように真っ黒な木、という意味ですね。
熱帯を中心に、アフリカ、インド、インドネシア、スリランカ、タイ、ベトナム...と各地に分布しています。
産地によって「印度烏木」「台湾烏木」という呼び方をする場合もあるようです。
成熟した黒檀の樹は高さ25m、直径1mにもなるのですが、成長がとても遅いのが特徴です。
(この「成長の遅さ」が、木材としてのきめ細かさや固さに影響するのですけどね)
黒檀は白檀と異なり、芳香はありません。
よく耳にする「黒檀」も、実際はかなり細分化されており、真っ黒のものは本黒檀(烏木)、縞模様のものは縞黒檀(条紋烏木)などと、いろいろな○○黒檀というものが存在します。
当店の黒檀扇子には、真っ黒な「本黒檀」を使用しています。
全ての黒檀に共通する特徴は、「とても硬くて重い」という事です。木材価格としては紫檀よりは下ですが、黒檀も立派な高級木材です。
紫檀同様、家具や仏壇に用いられます。
◆黒檀扇子一覧◆
|
<紅檀(ほんたん)>
別名:紅木
学名:木の総称のため特定不可
「紅檀」というのは、木の名称ではなく、木の総称です。以前から中国の家具などに使用されてきた木材の総称として使われています。
当店の扇子に使用している紅檀は、新しい木材としてインドネシアから輸入した木材を使用しています。
白檀には及びませんが、芳香がある木材です。
木材価格も、黒檀と同程度の価格なので、高級木材と呼べる部類のものです。
◆紅檀扇子一覧◆
|